いちよし証券は、店頭取引をメインとした東証一部上場の中堅証券会社です。
それほど知名度が高くないイメージですが、IPOの取扱いは結構多く、主幹事も務めることがあります。
しかも、資金不要で抽選参加できるので、IPO投資には外せない証券会社でしょう。
いちよし証券のIPOルールは、他の証券会社と違って独特な部分があります。
ここでは、いちよし証券のIPOルールを中心に解説していきますので参考にしてください。
いちよし証券の特徴・実績
いちよし証券のIPO取扱い実績は、幹事の実績が多く、主幹事を務めることもあります。
年 | 全IPO | 主幹事 | 幹事 |
---|---|---|---|
2017年 | 90社 | 4社 | 33社 |
2018年 | 90社 | 1社 | 29社 |
2019年 | 86社 | 1社 | 32社 |
いちよし証券は、インターネットでの取引サービスは行っておらず、『店舗』か『電話』しか取引ができません。
そのため、チャートを見ながら頻繁に取引をしたい人などには向かない証券会社でしょう。
IPOでは、資金不要で抽選参加できるありがたい証券会社の1つです。
いちよし証券の口座開設は、『支店取引』と『いちよしダイレクト』2種類の口座があります。
一般投資家のIPOの抽選に参加するには、テレホントレードサービスの『いちよしダイレクト』が一般的です。
以前は、IPO専用ダイヤルに電話してIPOの抽選申込を行う方法しかありませんでしたが、2018年10月からインターネットからもIPOの抽選申込ができるようになりました。
インターネットでIPOの抽選申込ができるようになっただけで、当選後の購入申込や、売却申込は電話での受付になります。
『支店取引』は店頭での対面取引がメインになり、担当者からアドバイスなどを受けて取引できる口座です。
この口座でのIPO申込は、預入資金や取引実績などの多さで優遇される『裁量配分』にるのでIPO投資メインの人には、配分されることは難しいでしょう。
IPO株抽選配分
いちよし証券では、IPOの割当てられた株数全体の1%を、いちよしダイレクトの抽選で配分されます。
ちなみに、割当てられた株数が50単元未満の配分になる場合は、いちよしダイレクトの抽選は行われません。
以前は、いちよしダイレクトの一般投資家には10%を抽選配分していましたが、2020年5月に1%に変更され、一般投資家への配分がかなり少なくなってしまいました。
残りのIPO割当て株数は、支店などで、取引手数料の実績や預けている資産の多さにより優遇される『裁量配分』になります。
抽選方法は、「完全平等抽選」を採用しています。
申込株数などで当選確率が変動することもないので、申込者全員の当選確率が一緒です。
当選配分は、原則として最低単元 (100株) となっていますので、複数単元 (200株) 以上の当選は基本ないことになります。
IPO抽選参加ルール
資金不要で抽選参加
いちよし証券は、前受金 (必要資金) 不要で抽選参加できる証券会社です。
IPOの抽選申込は、ブックビルディングの期間中にIPO専用ダイヤルに電話して申込むか、インターネットからの申込みになっています。
IPOの抽選申込期間は、ブックビルディング期間初日の8:30からブックビルディング期間最終日の10:00までとなっています。
抽選申込では資金を気にしなくていいので、抽選回数を増やして当選確率を上げるためにありがたい証券会社になります。
なお、銘柄によっては急遽、前受金が必要になる場合があるとなっています。
資金入金のタイミング
いちよし証券から当選の電話連絡がり、購入をする場合はいちよし証券の口座に入金します。
いちよし証券では、即時入金サービスを行っておらず、振込手数料も上乗せしていちよし証券の口座に振込しないといけないので注意してください。
資金拘束のタイミング
いちよし証券では、購入申込時が資金拘束のタイミングです。
いちよし証券は、当選の電話連絡受けて、入金を済ませてから電話で購入申込を行うので、購入申込を行っていない間は、資金拘束はされていません。
重複申込の資金
いちよし証券では、前受金 (必要資金) なしで抽選申込できるので、資金は関係なく重複申込できます。
しかし、いちよし証券はIPOの同一銘柄を他の証券会社で申込してはいけないことになっています。
インターネットでの申込時では、注意事項で「他の証券会社での需要申告(重複申告)はありません」にチェック項目があり、電話での申込は、他の証券会社で申込がないか確認されます。
重複申込があると自己申告すれば、申込ができないと思います。
ただ、自己申告以外で重複申込を行っていることをどのように把握できるのか疑問ですが、一応このようなルールになっているので覚えておいてください。
このような証券会社は他に、むさし証券とエイチ・エス証券の2社あります。
抽選結果
いちよし証券は、『当選』か『落選』のいずれかになります。
抽選結果の確認方法は、『当選』の場合のみ電話で知らせてくれます。
インターネットでは確認できません。
電話連絡がなかった場合は『落選』となります。
なお、いちよし証券では補欠当選はありませんが、当選者の辞退が出た場合は繰上抽選が行われます。落選したすべての人が繰上抽選の対象になります。
当選の連絡は、購入申込期間の初日に抽選申込時に指定した連絡先へ電話連絡がきます。この連絡で、購入意思や購入資金、購入申込の流れなどを確認することになります。
購入申込期間最終日の前々営業日15時までに連絡がつかないとキャンセル扱いになるので注意してください。
当選後の購入キャンセルのペナルティ
いちよし証券では、当選後の購入キャンセルのペナルティはありません。
決められた期間内に連絡が取れなくてキャンセル扱いになった場合でも同様にペナルティは無しです。
なので、公募割れのリスクがでてきてしまったら気にすることなくキャンセルできます。
購入申込
当選の電話連絡を受けてから、購入に必要な準備をして、いちよし証券に購入申込の電話をする流れになります。
- いちよし証券に購入代金を振込
※振込手数料分も必要 - 登録している住所に目論見書が届くので内容を確認
- テレホントレードに電話をして購入申込
購入代金の入金と目論見書の内容確認を済ませていないと、電話をしても購入申込ができないので、上記の手順でテレホントレードに電話するようにしてください。
なお、購入申込期間最終日の10時までに上記の手順で購入申込を行わないと、購入キャンセルの扱いになります。
いちよし証券は、インターネットでの購入申込できないため他の証券会社に比べて購入申込に手間と時間がかかるので注意してください。
売却と出金
いちよし証券は電話で取引注文を行うので、IPOの売却、出金も電話で申込ます。
初値売りの売却注文をする場合は、上場日前日の15時30分から17時までと上場日当日の8時30分から9時までが、初値で約定する注文になります。(上場後即初値が付く場合)
出金する場合も電話で行う必要があるので売却注文をするときに、売却ができたら出金してもらうように手続きもできます。
いずれにしても、電話で申込する必要があるので手間がかかりますね。
まとめ
- IPOの幹事実績は多く主幹事も務める
- IPOの抽選に参加するには『いちよしダイレクト』の口座
- 抽選申込はインターネットか電話で申込
- いちよしダイレクトへの抽選配分は1%
- 1口座1抽選の完全平等抽選
- 前受金 (必要資金) なしで抽選参加が可能
- 抽選結果は当選のみ電話連絡あり (落選は連絡なし)
- 入金タイミングは購入申込前
- 購入する場合は電話での申込
- 当選後の購入キャンセルのペナルティなし
いちよし証券のIPOルールを解説してきました。
資金不要で申込ができる点は魅力ですが、一般投資家への配分が1%に変更になったことは残念です。
他の証券会社とは少し違い、入出金や購入申込も手間がかかり面倒なところもありますが、幹事の実績も豊富で主幹事も年に数回務めることもあるので、IPOの当選確率を上げるためには貴重な証券会社でしょう。