IPOの抽選に参加するためには、IPOの取扱いが決まった主幹事証券会社、幹事証券会社、委託幹事証券会社の3つから申込むことになります。
主幹事証券会社や幹事証券会社はIPOにとって重要な役割を果たすことは認知されていますが、委託幹事についてあまり知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は主幹事や幹事との違い、委託幹事になることが多い証券会社など、委託幹事について解説していきたいと思います。
委託幹事 (裏幹事) 証券会社とは?
委託幹事とは、主幹事や幹事の証券会社からIPO株の販売を委託された証券会社で、IPO株の一部を割当てしてもらい投資家に販売します。「裏幹事」とも呼ばれています。
主幹事や幹事証券会社はIPOを行う企業の様々なサポートを行っていきますが、委託幹事は委託されたIPO株を販売するだけの役割になります。
IPOが上場承認されると目論見書に主幹事や幹事になった証券会社名が記載されますが、委託幹事は証券会社名が記載されません。遅れて発表されることが多いため、委託幹事があることも気付かないという人も多いと思います。
委託幹事は委託になるので、IPOの割当て株数は多くありませんが、気付きにくいぶん見落とす人も多くなるので、意外と穴場になることもあります。
委託幹事証券会社の探し方
委託幹事は目論見書では確認できないため、実際に委託幹事としてIPO株の割当てがあるか各証券会社のホームページで確認する必要があります。
ただ、すべての証券会社のホームページを確認するのは結構大変なので、委託幹事になりやすい証券会社をしっておくことで効率良く探せます。
以下のようなかたちで委託されることが多いです。
- 委託販売の抽選で当選すれば委託される
- 同じグループ会社から委託される
委託販売の抽選に当選すれば委託される
委託販売を希望する各証券会社で抽選を行い当選すれば委託幹事としてIPO株を割当てられます。
この方法で決定された委託幹事は特に見つけにくくなり、委託幹事の実績がある各証券会社のホームページで確認していかないといけません。
同じグループ会社から委託される
同じグループの証券会社が主幹事または幹事になった時は、そのIPO株の一部を委託されて委託幹事になることが多いです。
この場合は同グループの証券会社だけを確認すればいいので探しやすくなります。
- SBIグループ
SBI証券からの委託 ⇒ SBIネオモバイル証券が委託幹事 - 岡三グループ
岡三証券からの委託 ⇒ 岡三オンライン証券が委託幹事 - 三菱UFJフィナンシャルグループ
三菱UFJモルガン・スタンレー証券からの委託 ⇒ auカブコム証券が委託幹事
以下の記事で委託幹事を証券会社から調べる例も解説しているので参考にしてみてください。
委託幹事からのIPO申込みはどうするか?
通常は、委託幹事は主幹事や幹事証券会社よりIPO株の割当が多くなることはありません。
当然ですが、IPOの取扱いが決まったすべての証券会社から申込みをすることで当選確率はその分上がることになるため一般投資家には1番いい方法です。
しかし、資金が限られる場合は基本的に以下の順番で申込みを考えるほうがいいでしょう。
- 主幹事証券会社
- 幹事証券会社
- 委託幹事証券会社
主幹事証券会社からの申込みはIPO投資にとって必須になるので、1番に申込みを行います。
2番目に幹事証券会社からの申込みを考えます。幹事証券会社は大抵、数社が引受ける事になるので各幹事証券会社の割当株数や、当選本数が多く当選確率が高くなるところから資金が許す限り申込を行います。
3番目にまだ資金に余力がある場合は委託幹事からも申込みを行います。
基本は上記の流れで申込みを考えますが、証券会社によって一般投資家に配分する割合がかわってきます。そのため主幹事より幹事の方が一般投資家に配分する株数が多くなる時もあれば、幹事より委託幹事の方が多くなる場合もあります。
証券会社によって抽選方法も違ってきたりするので、少し面倒ですが抽選ルールなども考慮して当選確率が高くなるところから申込みを行うべきでしょう。
委託幹事なりやすい証券会社
SBIネオモバイル証券
SBIネオモバイル証券は、同じSBIグループであるSBI証券からIPOの販売を委託をされて委託幹事となります。
「ひとかぶIPO」のサービスを開始して1株からIPOの申込みが可能です。1株ごとに抽選が行われるので、委託幹事とはいえ当選者は多くなります。
SBI証券が主幹事の時は委託される株数が多くなるので当選チャンスも大です。
引受けたIPO株は、100%ネット抽選で配分されますが、スマホ専用アプリの「ネオモバ 株アプリ」からしか申込みができません。
抽選方法は、「完全抽選」50%と「優遇抽選」50%の2種類の当選枠で抽選が行われます。
優遇抽選では、口座開設をしてからの継続期間も含まれるので、早く口座開設しておいたほうが抽選で有利になるでしょう。
岡三オンライン証券
岡三オンライン証券は、同じ岡三証券グループの岡三証券からIPOの販売を委託されて委託幹事となります。
引受けたIPO株は、100%ネット抽選で配分することが多くなっています。
抽選方法は、10%が完全平等抽選で、残りは取引手数料などで優遇されるステージ制を採用しています。
IPOの抽選に前受金 (必要資金) なしで申込みができるので、当選確率を上げるためにも委託幹事になった際は、忘れずに申込みをしましょう。
auカブコム証券
auカブコム証券は、同じ三菱UFJフィナンシャルグループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券からIPOの販売を委託されて委託幹事となります。
引受けたIPO株は、100%ネット抽選で配分しています。
抽選方法は、1口座1抽選の完全平等抽選を採用しているので、誰もが当選確率は同率です。
申込みは後期型を採用しているので、2段階の申込みが必要になります。
DMM.com証券
DMM.com証券のオンラインサービスであるDMM 株からIPOの申込みが可能です。2019年からIPOの取扱いを始めたばかりでIPO実績はあまり多くありませんが、委託幹事としてIPOの取扱いを行います。
引受けたIPO株は、100%ネット抽選で配分しています。
抽選方法は、1口座1抽選の完全平等抽選を採用しており、前受金 (必要資金) なしでIPOの抽選に参加できます。
IPOの委託販売を希望している時点で、ブックビルディング前からそのIPOの申込みを受け付けていますが、委託販売の割当てがなかった場合は申込み自体が無駄になってしまうことがあります。
委託幹事として取扱いがある場合はホームページで発表されます。
松井証券
松井証券は、幹事としての実績も豊富でたまに委託幹事にもなります。
引受けたIPO株は、70%~100%をネット抽選に配分することになっていますが、ほとんどのIPOで100%配分されてるようです。
IPOの抽選に前受金 (必要資金) なしで申込みができ、完全平等抽選を採用してるので、当選のチャンスは平等です。
IPOの申込みも「後期型」から「前期型」の申込みに変更になったため、手間が省けて楽になりました。
SBIネオトレード証券 (旧ライブスター証券)
SBIネオトレード証券(旧:ライブスター証券)は、年間のIPO実績は多くありませんが、委託幹事としてIPOの取扱いがあります。
IPOの抽選に前受金 (必要資金) が不要で申込みができます。
引受けたIPO株は100%ネット抽選で配分し、完全平等抽選で誰もが当選確率は同じです。
マネックス証券
マネックス証券は、みずほ証券と販売委託の業務提携を行っているので、みずほ証券が主幹事になった場合はIPOの販売委託を受けて委託幹事になることがあります。
基本は幹事になることがメインでIPO取扱い実績も豊富です。
引受けたIPO株は100%ネット抽選に配分し、1口座1抽選の完全平等抽選を採用しているので当選の期待は大です。
楽天証券
楽天証券は、幹事として登場することが多くなってきてます。たまに委託幹事としてIPOの取扱いを行います。
引受けたIPO株は100%ネット抽選へ配分します。
抽選方法は、1単元 (100株) ごとに1抽選権がもらえるルールになっていますが、ほとんどのIPOで申込上限が1単元 (100株) までになっているので、実質は1口座1抽選の完全平等抽選となります。
申込みは後期型なので2段階の申込みが必要になります。
GMOクリック証券
GMOクリック証券は、IPOの取扱い実績はかなり少なくなっていますが、同じグループであるGMOインターネットグループ内の企業が新規上場する場合は、ほぼ委託幹事としてIPOの取扱いがあります。
同グループ企業のIPOを委託幹事として引き受ける場合、かなりのIPO株が割り当てられる可能性があり、主幹事証券会社よりも当選確率が高くなることもあります。
引受けたIPO株は100%ネット抽選に配分します。
抽選方法は、1口座1抽選の完全平等抽選を採用しているので、みな平等に当選のチャンスがあります。
後期型なので2段階の申込みが必要になります。
岩井コスモ証券
岩井コスモ証券は、IPOの取扱い実績が豊富で幹事になることが多く、委託幹事も引き受ける事があります。
岩井コスモ証券「ネット取引」では、引受けたIPO株を10%をネット抽選で配分しています。
ネット取引での抽選方法は、1口座1抽選の完全平等抽選を採用しています。
申込みは後期型になるので、2段階の申込みが必要です。
むさし証券
むさし証券は、IPOの実績はあまり多くありませんが、幹事と委託幹事を務めます。
引受けたIPO株の10%をネット抽選に配分します。
ネットでの抽選方法は、1口座1抽選の完全平等抽選を採用しています。
抽選には前受金 (必要資金) 不要で申込みができるので、抽選の機会を逃さないようにしましょう。
まとめ
委託幹事 (裏幹事) について解説してきました。
基本は、委託幹事へのIPOの割当株数は多くないため当選確率も低くなってしまうので、資金的に余力がない場合は無理に申込みをしなくていいと思います。
ただ、気付きにくい特徴があるためIPOが重なっている申込みラッシュの時は、主幹事、幹事の各証券会社の申込み優先で委託幹事の申込み者が少なくなり、穴場になって当選確率が高くなっている可能性や、同グループ企業が新規上場する場合は、その企業と同じグループの委託幹事に多くIPO株が割当てられることもあり、当選確率がかなり高くなることもあります。
IPOに当選するためには、できる限り当選確率を上げるために申込みできる各証券会社から抽選参加することが基本なので、委託幹事になりやすい証券口座も開設しておくことも重要です。